輸入/輸出管理の規制(Export Administration Regulations)に関しては、環境保護や技術流出といった背景で制定されます。ただ大義としては、武器の流通を抑制することによる世界平和です。世界平和を守るため、武力となるようなモノが流通しないように規制をかけています。ここで、武器はいくつもの部品や技術から成り立ちます。その部品の中には武器だけではなく、日常品に使われるものもあります。よって、武器に使われるであろうという可能性だけで輸入や輸出を制限してしまうと、危険なものに使うことがなかったにもかかわらず輸出入で得られたはずの利益や生活水準を上げる技術が抑止されてしまいます。このように、軍用としても民生用としても両方使えるデュアル・ユースという場合がありえます。そのため、輸入/輸出管理では輸出入した製品が何を目的に輸出入され、実質的に何に使われたのかを追跡する側面を持ちます。
このように安定を損なう可能性のある通常兵器の過度の移転と蓄積を防止することを目的とした国際的輸出管理体制が、ワッセナー・アレンジメントです。米国、東ヨーロッパ諸国、ロシア、日本を含む33ヵ国が創立メンバーとなって設立されました。輸出の許可・不許可の判断は、基本的には参加国の裁量にゆだねられています。ワッセナー・アレンジメントによって、輸出入する技術が明確になり、今まで他国に共有しにくかった暗号システムを交換・使用する枠組みが提供されました。
何に使われるのかは重要
このような輸入/輸出管理の体制は、ワッセナー・アレンジメントが初めてではありません。輸入/輸出管理の歴史を学ぶ上でCOCOM(ココム)という存在も知っておきましょう。対共産圏輸出統制委員会、通称COCOMとは、第二次世界大戦での冷戦時代に米国を代表とする資本主義国である北大西洋条約機構(NATO)の軍事技術がソ連を代表とする共産主義国であるワルシャワ条約機構(WTO)に流出しないようにするための委員会のことです。COCOMの目的としては、米国とソ連の間の軍事力や技術力の格差を維持することです。維持するといってますが、つまりは資本主義国側の武力優位性を保つということです。アイルランドを除くNATO加盟国と日本・オーストラリアの計17か国が加入していました。1994年のソ連崩壊により、COCOMも解体されます。
ここでは、輸入/輸出管理における米国の法規を紹介しておきましょう。米国の輸出管理法規は、主権や管理権の及ばない他国との取引にも適用されます。いわゆる域外適用ですね。例えば、米国が原産国のものを日本から輸出する場合には日本の外為法を守ることに加えて、米国の再輸出規制を守る必要があります。もしも、違反した場合には米国法の法令違反となり行政制裁が下る可能性もあります。
取引する際には、国際武器取引規則に則ります。国際武器取引規則 (ITAR) は、ミサイル、ロケット、爆弾、米国軍需品リスト(USML)に記載されているあらゆる品目の輸出を確実に管理するために構築された米国の規制です。武器と言っていますが、行政に関わる情報システムを作る場合には、国防のため知られてはいけない技術や発言もあります。そこで、国防関連の記事や発言の米国からの輸出も制御しています。