知的財産は企業にとっては最も重要な資産になりえるでしょう。ここでは知的財産にはいくつかの種類があるので紹介します。
商標とは、ブランド力をつけるもの、つまり会社のロゴや社名、商品名です。ロゴの右上に”R”が入っているものを見たことがあるかと思いますが、これはロゴが権利・RIGHT(ライト)に保護されていることを示します。特許とは、薬といった発明物に対して、技術の使用を独占する権利です。一般的に発明というのは長い年月を要しますからもし使用の独占ができないとすると発明したそばからマネをする人ばかりになり技術の発展もしないため、発見者の利益を保護する仕組みがあるのです。著作権とは音楽や本など、創造し考えて作ったものへの権利です。自分の描いた絵、音楽は著作権を持っています。当然、他人の創作物にも著作権があります。他の人が作ったものは使ってはいけないというわけではなく、作成者によっては条件を決めて使用を許可しているところもあります。今では、個人が画像や動画をインターネットに公開するのが当たり前になったため気を付けたいところですね。
ビジネスモデル特許の例。アマゾンのワンクリック特許。
著作権は身近な権利ですが、いくつかの制約があります。消尽(しょうじん)とは一度譲渡されるとそれ以降の譲渡を制限できなくなることです。例えば、YouTubeにあげる動画を、友達に作ってあげました。その友達に「著作権も君のでいいよ」と譲りました。その後、その動画がバズり人気が出ました。その場合であっても、友達に対して著作権を行使して、勝手に使っていると糾弾したり、その友達が更に他の友達に譲るのを止めることはできません。
また、米国の著作権法では、死亡してから70年、公表されてから95年、作られてから120年で著作権が失効します。これ以降は著作権を行使することができませんので、誰でもその作成物の恩恵を受けることができます。
インターネットは著作物が広がっていく速度が非常に早いです。そのため、盗まれていたものがある程度広まった後に、権利侵害を訴求することが多いでしょう。ここからは、もしも自分の知的財産が脅かされたときにどのような法律が守ってくれるのかを紹介いたします。
デジタルミレニアム著作権法とは、デジタルコンテンツの著作権に関する法律であり、Web上でのあらゆる著作物に適用されます。具体的には、自分のコンテンツが勝手に他のサイトで使われていることに気づいたとき、盗用されたコンテンツを運営するサイトのプロバイダーに対して、著作権を保有している人が著作権侵害の申し立てを通告することができます。その後、この通告を受け取ったプロバイダーは対象のコンテンツを迅速に削除します。削除した場合、著作権侵害の責任は免除されることになっています。
ただ、インターネットは非常にオープンであることから、侵害された著作物を発見できないことも考えられます。そのため画像の著作物については、識別子を埋め込むことが一般的です。発売前の限定品のデザイン画像に”SAMPLE”という文字が覆っていることがあります。”SAMPLE”という文字を張り付けておけば、たとえ盗まれたとしても利用されることを抑止する狙いです。また、”SAMPLE”という文字を使わずに、画像自体に著作権情報を見えない形で埋め込むことで不正な画像の利用をのちに訴求する方法もとられます。
これらの知的財産の利用の許可は、一般にライセンスと呼ばれます。ライセンスとは、アプリケーションといった知的財産の使用に対する権利です。特定の画像や動画、企業のアプリケーションはライセンス契約をしていなければ、基本的に利用することはできません。そのアプリケーション自体を持っていても、ライセンス料を支払わずに使った場合には、勝手に利用したとして状況調査を求められたり、使用料を請求されるケースもあります。違う観点で見ると、ライセンスは利用の許可や承認を得るためのものであり物質的なものではありません。スマホアプリを例にして考えてみましょう。あなたが新しいスマートフォンに買い換えて、購入済みの有料アプリを再度ダウンロードした時、お金を払いません。そのアプリのデータ自体を購入しているのではなく、アプリを利用する権利を保持しているためです。
知的財産は公開されているモノだけではありません。営業秘密(trade secret)とは、顧客情報、製品の技術・製造方法といった事業活動として有益であり機密としている情報です。コカ・コーラの作り方を誰も知らないと思います。これはコカ・コーラ社が事業活動の主幹である利益を生むコカ・コーラのレシピも公開せず、営業秘密として扱っているからです。コカ・コーラは作り方が複雑なのではなく、権利として完璧に守られているわけです。仮にコカ・コーラと似たような飲み物を作れたとしてもそれがコカ・コーラであるとは言い切れません。もしも言い切ったとすると、秘密に保管されているコカ・コーラのレシピと一致していることを確認しているため、営業秘密を侵害していることになるためです。一方で、味が完全に同じであったとしても、”作り方が同じである”とは言えないので、コカ・コーラっぽいものということしか言えません。秘密にすること自体が企業ブランドを守っているわけです。
他の知的財産と同じように営業秘密に関しても保護する法律があります。連邦経済スパイ法では、営業秘密を漏洩した場合に罰する刑事法です。企業秘密を不正入手した外国の企業や政府は処罰されます。また、連邦経済スパイ法と類似の民間レベルの法律としてトレードシークレット法も存在します。セキュリティ専門家としては知的財産に直接関わることは稀かもしれませんが、組織はこういった権利に囲まれていることを覚えておきましょう。
“謎”というブランディング