●トピック
●深く知る
輸入/輸出管理の規制に関して、環境保護や技術流出など様々な背景で制定されますが、本来の目的としては武器などの流通を抑制することによる世界平和です。世界平和を守るため、武力となるようなモノが流通しないようにしているわけです。ただ、武器はいくつもの部品や技術から成り立ちます。その部品の中には武器だけではなく、日常品に使われるものもあります。よって、武器に使われるであろうという可能性だけで輸入や輸出を制限してしまうと、危険なものに使うことがなかったにもかかわらず輸出で得られたはずの利益や生活水準を上げる技術が抑止されてしまいます。このように、軍用としても民生用としても両方使えるデュアル・ユースという場合がありえます。そのため、輸入/輸出管理では輸出入した製品が何を目的に輸出入され、実質的に何に使われたのかを追跡する側面を持ちます。
輸入/輸出管理における米国の法規を紹介しておきましょう。米国の輸出管理法規は、主権や管理権の及ばない他国との取引にも適用されます。いわゆる域外適用ですね。例えば、米国が原産国のものを日本から輸出する場合には日本の外為法を守るとともに、これに加えて米国の再輸出規制を守る必要があります。もしも、違反した場合には米国法の法令違反となり米国から行政制裁が下り、米国との輸出入ができなくなる可能性もあります。
最後に、輸入/輸出管理の歴史を学ぶ上でCOCOMという存在も知っておきましょう。対共産圏輸出統制委員会、通称COCOMとは、第二次世界大戦での冷戦時代に米国を代表とする資本主義国、北大西洋条約機構(NATO)の軍事技術がソ連を代表とする共産主義国、ワルシャワ条約機構(WTO)に流出しないようにするための委員会のことです。COCOMの目的としては、米国とソ連の間の軍事力や技術力の格差を維持することです。維持するといってますが、つまりは資本主義国側の委員会なので武力的な優位を保つということです。アイルランドを除くNATO加盟国と日本・オーストラリアの計17か国が加入していました。1994年のソ連崩壊により、COCOMも解体されます。