適切な採用プロセスを行ったあと、無事承認が得られれば、その組織の従業員として働くことになります。そこで、組織のアカウントデータベースに登録する必要があります。アカウントを管理するシステムをIT用語で、IAMシステムと言います。アカウントの登録によって、新しい従業員に対し識別情報である従業員番号やメールアドレスと認証情報であるパスワードを割り当てられ、登録アカウントで組織のリソースにアクセスすることを許可します。
部署を異動する場合にはアカウントを再登録するのではなく、職務に合わせた権限が変更されます。職務が変更になったとしても、登録されている個人情報自体が変更されるわけではないため、役割という一つの属性だけを変更する方がずっと楽だからです。ただ、前の職務の権限が残っている場合には、権限を超過する可能性がありますから、権限を新たに与えるだけではなく、元の職務の権限を削除することにも注意が必要です。
次に、解雇する際のプロセスについて考えてみましょう。解雇は大抵ネガティブなイベントですので慎重にプロセスを進める必要があります。「正式に通知する前に解雇者リストが出回っちゃいました」とか、「入館証を先に使えなくなってしちゃいました」とかは起きないようにしないといけません。解雇する従業員にすごい迷惑をかけられたのかもしれませんが、誠意を持って対応しておかないと、「もう退職するから」という理由で、突飛な行動や不誠実な行動を助長します。ただ、このような「もう何でもやってやれ」的な考えは逆に言うと本音を聞けるチャンスでもあります。そのため、組織によっては退社面接を設けます。従業員がなぜ退職するのか、従業員が組織をどのように見ているのか、従業員の状況を改善するために何を提案するのかを聞いてあげることで、組織としての問題点を洗い出して、良い人材をより長く止める事ができるようになります。
えげつないほど効率的な解雇通知
従業員が退職する際には、アカウント管理システム、IAMシステムからその従業員のIDは無効化されます。ただ、退職したからと言って従業員のデータを完全に手放すようなことは、企業はしないでしょう。職務経歴書を残していたり、アカウントはあるけどログインできないようなロック機能をかけるなど、使えないけど存在しているような管理をします。これはなぜかというと、問題があって退職したのに来年になったら何食わぬ顔でもう一回採用に参加しているとか、会社のリソースを持ち逃げされてることに退職後に気付くとか、早期に削除してしまうと後になって問題が見つかっても対応できなくなるからです。情報は残しておき、利用は停止します。
退職者は、退職後に機密保持契約とともに競業避止義務を負います。競業避止義務とは、契約者が雇用主に対して競争に参加しないことを約束する契約です。会社と競合する他社に就職及び競合する事業を営むことを禁止します。自社のノウハウや人脈を全部持ってかれたうえ、それを他社競合に使われてしまうとビジネス的につらいので禁止する契約があります。