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リスクが認識できたら影響を分析しましょう。リスク分析は定性分析と定量分析に分かれます。まずは定性分析から紹介しましょう。定性分析とは、コストなどの数値として評価できない事象に対して行う分析方法です。アンケート結果やコメントなどデータそのものの質を分析に生かす場合に利用されます。定性分析にも様々な方法が提案されていますが、ここではリスク分析マトリックスの利用について説明していきます。
リスク分析マトリックスでは、各リスクに対して、影響度と発生確度を大、中、小という大きな3つの括りで分類します。もちろん、大中小よりもより細かくパーセンテージ(%)を示して分類することもありますが、ここではわかりやすく大中小で説明していきます。
例えば、他社競合のサービスは、公開されるまでどのようなサービスかは不明確であることから影響コストとしての計上ができません。しかし、自社のサービス機能を織り込んでくることが考えられるため、既存顧客の乗り換えや今後取り得たであろう見込み顧客を鑑みると、影響は大きいと判断がつきます。自社の新サービスの展開は、顧客からどのような問題が指摘されるかわかりませんが、すでに海外で利用されていたり成熟した分野のシステム製品を利用することで、問い合わせの中で解消可能と考えられるのであれば、ある程度のコストを見込んでおけば問題は起きないと考えられます。そのため、影響度合いは中と判断がつきます。地震は、地震の規模によって影響度合いが異なりますが、施設の破壊などにつながるため影響が大きいと判断がつきます。その一方で、その規模の災害はサービス展開からすると発生頻度は低いと考えられます。
他社競合や問い合わせ、地震は定量的な数値計算に持っていくことも可能ではあるため、定性的な良さが出にくい部分ではありますが、これがより抽象的なSNS上でのコメントであったり口コミである場合には、解決策を分析をするにあたってデータそのものの質に着目する必要が出てくるため、定性分析は非常に有用になってきます。